確かに、上下分離方式とは優れたシステムである。しかし、私はその中間にあたる「マーケティング（企画、営業、集客、広報）」が不在なように思う。正確に言えば、経営の厳しい地域鉄道は、マーケティング能力を有する人材を雇う費用を捻出できないのが現状である。そこで、私は、全国の地域鉄道の企画、営業、集客、広報部分のお手伝いすることができないか？と、旅行会社時代から培ってきたノウハウを事業としてビジネス展開することを思いついた。いわば、「上下分離方式」ならぬ「上中下分離方式」である。「上」＝「運行管理」、「下」＝「施設管理」、「中」＝「マーケティング管理」という方式だ。全国の地域鉄道の「中」の部分、つまりマーケティング管理の部分を弊社日本観光鉄道が代行するビジネスである。さっそく延べ10社の鉄道会社に向けて集客のお手伝いを試みた。結果、各社とも1回につき約1000名前後の集客実績を残せた。各鉄道会社や沿線地域の収益は、各ツアーの特典に福袋を付け、オリジナルグッズや地域の地場産品も詰めてもらうことでその売上となるビジネスモデルを考えた。ツアーの集客が1000人だとすれば、同時にグッズや地場産品も1000個売れる。我ながら名案だと思った。

世の中には、「線路を持たない鉄道会社」もある。ならば、「線路も車両も持たない鉄道会社」もあっても良いではないか。「上中下分離方式」の「中」の部分。企画・集客・営業・広報を請け負う実践的な会社。全国47都道府県に各県オリジナルな「ローカル鉄道のテーマパーク」を開業し、雇用の創出や交流人口を増加させ本当の意味での地方創生に貢献したいというのが私の夢であり使命である。